生命保険と遺言は車の両輪

生命保険と遺言は車の両輪

「なぜ生命保険は入っているのに、遺言は書かないのか?」

ある調べによると日本の人口は世界の人口のわずか50分の1にすぎないなのに、世界中の保険のなんと3分の1を日本人がかけているそうです。
また生命保険の世帯加入率は87,5%(生命保険文化センター調べ・H18)。それに比べて公正証書遺言を残した人は全国の年間死亡者数108万人のうちわずか6%に過ぎない7万人弱(日本公証人連合会調べ・H17)。
一方で遺産分割のトラブルが原因での家裁における調停、審判が年間12,000件あり、1949年に比べて実に10倍になっている(最高裁事務総局編)。

これは「長男が当然に全て相続する」という考えが根強い、財産を残す側の世代に対し、個人の権利主義が浸透している、財産をもらう側の世代とのギャップが原因と考えます。

「うちの子はもめるような子たちじゃない。だってああ見えて結構いい子だよ。」そう思いたい親の気持ちはわかります。
この私自身も二児の父ですし。また先日、泥沼の相続騒動でマスコミをにぎわした日舞のある流派の件で、急死した家元は生前「私は120まで生きる!」というのが口癖だったそうである。
いつまでも若々しく、健康で長生きするんだという意気は素晴らしいですが、それと同時に万が一のこともあわせて考えておく、いや形に残しておくことはまわりの人たちへのマナーではないでしょうか。
それがないのであればひとりよがりのマナー違反とさえいえるかもしれません。

遺言は、専門家のサポートなどなくても「相続人への想い」と「慎重さ」があればそんなに難しいものではありません。
ご自分だけでもできます。ぜひ、今すぐ書いてみてください。まだ間に合います!あなたが元気なうちにしかおすすめしません。


費用対効果の比較

【かかる費用】

生命保険:
約1,080万円
月々約3万円×30年(360か月)のケース ※某有名保険会社で計算

公正証書遺言:
約15万円
専門家に依頼して「妻に全財産(預貯金+マイホーム)4000万円を相続させる」という内容の遺言書を作るケースだと(当事務所の場合で計算。報酬105,000円+公証人手数料含むその他実費45,000円位)で作れます

「遺言の作成費用は、あなたの大切なご家族を相続トラブルから守るための必要経費とお考えください。」

【費用面以外でも】

生命保険は本人が高齢、病気、既往症の有無など場合によっては加入できなこともありますし、ある年齢を超えると保障が無くなってしまうこともあります。
対して遺言はいつでも誰でも作れますし(15歳以上で意思能力があれば)、一度作ってしまえば一生涯安心です。

しかし生命保険金には受取人の今後の生活を金銭的に助けるという非常に大きな役割があり、欠かせません。
もちろん私自身も加入しています。でも、生命保険金はあくまで受取人のものであって相続財産ではありませんので受取人以外の相続人には関係ありません。
すなわち相続財産をトラブルなく引き継がせる役割は生命保険金には果たせません。

その役割を果たすのが遺言です

その遺言が無いばっかりに住んでいる家を追い出される羽目になったり、身内同士の骨肉の争いになり縁切り状態になってしまったりなど当事務所にもそのような相談が非常に多いことに愕然とします。

生命保険と遺言は車の両輪です

生命保険だけでは大切なご家族を守れません。それに加えて、遺言書も作ることで、経済的な面からそして身内同士で争う浅ましい相続トラブルを防ぐという面からも守ることができるのです。

* 参考文献「その死に方は迷惑です」本田恵子著 集英社新書