長男vs長女

母親が亡くなった際の40代の兄妹相続のケース(父親はすでに他界)で、長男は20年間母と同居、一方、長女は若くして遠方に嫁いでいました。

遺言が残されていないので遺産分割協議書が必要です。

兄は「俺は長男だし、何よりずっと同居して母の面倒を見てきたのは俺なんだから妹も分かってくれるだろう」とばかりに「全財産を自分に相続させる」という協議書を作成して嫁ぎ先の妹にハンコをもらうため送付したが、妹は拒絶。
「そんなの関係ないじゃん。法律上の取り分は平等のはずだし、兄貴だってタダであの家に住まわしてもらってたようなもんじゃん。」

その後お互い譲らずついには裁判になりドロドロの争続になってしまいました。

【メッセージ】

果たして母親はこのような事態を生前に想像していたのでしょうか。
あなたも「うちの子供たちはああ見えて結構仲いいし、なんだかんだ、けんかせずやってくれるだろう。」と思い込んでいませんか?

確かにどんな親も、自分の子供はいい子であってほしいし、「いい年して兄弟げんかなんかする子たちじゃない」と信じたいのは当然のことだと思います。
しかし、すべての人間には「欲」があります。親の生きているうちは子供は無意識のうちに欲は抑えています。 親の存在は、いわば「重し」になっているととらえたほうがいいかもしれません。それに子どもたち同士それぞれの考えにもズレがあるのが当然で、言い分も様々です。

【遺言力】

もし財産が預貯金だけならちょうど半分ずつ分けやすいかもしれません(あくまでお互いが法定相続分通りで納得したとき)が、不動産の場合はそうもいきません。

そこで例えば長男には今住んでいる不動産、長女には預貯金あるいはその預貯金が少なすぎるときは生前に生命保険金の受取人を長女にしておくなどバランスを考えて遺言を残しましょう。

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