自筆証書遺言は危険がいっぱい

Yさんの事例

Yさんは自筆で遺言を残しました。封印してある自筆遺言は勝手に開封してはダメで、家庭裁判所に検認してもらう必要があります。
その検認手続は無事終わったんですが、一方の相続人の弁護士から、書いた日付の不備、誤字脱字の多さ、訂正の仕方のまちがい、印鑑も不鮮明などと立て続けに指摘され結局その遺言は無効になってしまった。

★もし専門家の私がサポートしていれば

日付、誤字脱字のチェックはもちろん訂正の仕方もお教えします。
押した印鑑が不鮮明であればきちんと訂正してもらいますし、あまり訂正が多いとトラブルになりやすいので一からの書き直しを勧めていたはずです。

Xさんの事例

亡くなったXさんは生前献身的な介護をしてくれた長女のAさんを想い、長男のBさんより少し多めに財産を相続させる内容の遺言を自筆で残しました。
家庭裁判所の検認は無事終えたんですが、ある夜Bさんが血相を変えてAさん宅へ。
B「あの印鑑は姉さんが勝手に押したんだろう?普通の三文判だし、どこでも手に入るじゃねえか。それに、親父があんな不公平な遺言を書くわけないじゃねえか。とにかく俺は絶対認めねー!」

★もし専門家の私がサポートしていれば

確かに認印でも指紋でも有効ですが、遺言を認めたくない相手にとっては格好の突っ込みどころです。
ですから必ず実印を押しておいてもらいます。それに実印というのは役所に届けてある印鑑なので必ず印鑑証明書も一緒に遺言書に添付してもらいます。
それがないと実印とは主張できません。
あと付言事項として長女Aに多めにあげる理由、想いを正直に書いてもらったはずです。そうすることによって、長男Bの不満を最小限にする効果がありました。


以上のように自筆遺言は確かに気をつけないと危険はあります。しかし、専門家がきっちりサポートすれば、「遺言自体を残さない」とくらべて数百倍の意義があります。
また、遺言の内容がシンプルあるいは、どう考えてもモメる可能性が低いケース、費用的な面、公証役場に何度か行ったり、証人を2人も用意したり、公証役場に提出する複数の書類を集めたりする手間などを考えてとりあえず、第一段階として自筆で遺言しておくのも賢明といえるでしょう。