痛恨..後悔..

花子さんは入院中の夫・太郎さんから「遺言の相談をしたいから先生を呼んできてくれ」と頼まれたということで、私は早めに病院に伺ったところ、その後、病状が急変したらしく、こちらの呼び掛けにはもう反応がなく「奥さん、残念ですけどこの状態では遺言能力はなく、無理です。」と伝える途中から奥さんは嗚咽し、号泣されました。

そして太郎さんは翌日亡くなられました。

【メッセージ】

遺言は元気なうちに残すものです。花子さんは「ウチの人は亡くなる前日までとても元気で、退院まで秒読みだったのに亡くなるなんて信じられない」とおっしゃっていました。

1か月前にご夫婦で相談に来られた時すぐに遺言を書いておいてくだされば......。
もっと強く遺言をすすめれていれば良かったと私は未だに後悔しています。

ちなみに御夫婦にお子さんはいませんので、残された妻・花子さんと亡くなった夫・太郎さんの兄姉との遺産分割協議は避けられません。

相続財産は、ご夫婦で住んでいた持ち家と少しばかりの預貯金だけです。もし兄姉に相続分を主張されたら花子さんは住んでいる家土地を売ってお金を作らねばなりません。そのあとはどこに住むのでしょうか?

【遺言力】

「妻にすべての財産を相続させる」旨の遺言を元気なうちに残しておけば兄姉には法律上取り分(遺留分)は1円もありませんのでそれで済んだはずです。

その後花子さんとは連絡はとっていませんが、とても心配です。

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